2014年4月15日火曜日

「はると先生の夢色TSUTAYA日記」2

(C)2004『カナリア』製作委員会
4月15日


『カナリア』2004年

監督/塩田明彦
出演/石田法嗣 谷村美月


ずいぶん前からレンタルビデオ店の棚で見かけて少し気にはかかっていたが、オウム物もなんだかなあ、といった気分だったので今回まで見る事はなかった。
それは何故かと言うと、私にとって1995年に起こったオウム真理教関連の事件やその背景にあろうと思われる人間関係や各信者の心理などは、映画や小説などの虚構の中の物語よりも、もっと奇異でドラマ的な要素を大きく感じた事件であり、したがってどのような切り口でこの題材を映画化しても事件当時のテレビのニュース特番等で見ていた異様な興奮と比べると特別面白いモノではない。と決めつけていたからなのでした。

少し前に特別手配されていた何人かの信者達も逮捕されて、事件そのものも時間の経過とともに風化されてゆきつつある今日(私は勿論事件の当事者でないので)知人が、わりと面白いみたいな事をいっていたので、借りてみました。

物語は無差別殺人事件を起こした後、教団女性幹部の息子が、保護されていた関西の児童相談所から脱走して、祖父に引き取られている妹を取り返し逃亡中の母親を見つけてもう一度家族を再生させるために、東京の祖父の家を目指しているところに、親に虐待を受けていて援助交際まがいの事をしている少女と出会い少年の旅に少女が同伴していくという、いわゆるロードムービーなのだが、心に大きな闇を抱えている男女の刹那な恋愛を描いたドラマというジャンルには、非常に強い中2病的要素を持つ私としては、移入しすぎて引き込まれないようにあえて否定せざるを得ない必然があり、とりあえず無理矢理な客観視ではあるが、感想を延べさせていただくと、主演の谷村美月の関西弁での台詞がわざとらしく鼻につく(演技が下手な訳ではなく、本人も大阪出身だとの事なので脚本に問題があるという解釈だが)エンディングテーマのラップみたいな歌もなんか行き場のない若者のよくある代弁みたいでかなり寒い。物語は祖父の家にたどり着く直前に少年の母と他の逃亡信者の自殺を知り、打ちひしがられながらも祖父の家に行き、妹をつれて3人でまた新たな旅に出るという非常に曖昧な希望を提示するとこで幕引きを迎えている(結局旅に出ることでしか終わらせられないのね。昔だったら主人公がアメリカにいくとか、で飛行機雲が彼の笑顔になってとかのマンガよくあったなぁ。せめて18歳以上だったら若い夫婦のふりでもしてフリーターでもやりながら取り敢えず生活する事位は出来たかも知れないけど、そこで話の分かる自営業の苦労人なオヤジと知り合ったりね。それにしたって若いから喧嘩とかもたえないだろうしなぁ。12歳とかだからゲリラ売春とかで日銭稼ぐしか方法はなくねぇか?それで結局児童相談所に戻りました。めでたしめでたし。でもそれだったら妹はおじいさんとこにずっといたほうがよかったでしょ?まあ仕方ないか?)。イヤホーンで聞いていたからなのか音響がやたら良く感じられたので、ぐぐってみたら、録音は郡弘道という人らしくこの名前も武闘派極道みたいでなんかこわい。

ここまで書くと難くせばかりつけているようで、まるで駄目な映画みたいですが、実はこれはこれでなかなか面白い映画ではありました。オウム事件の起きた当時とかに観たら私も若かったし、もしかしたらカブレてしまい家出少女とのロマンスでも実行に移してしまっていたかもしれません。それだけの影響力がこの映画と出演者には宿っていなくは無かった、と思います。たぶん。
あらためて自分にとっての『写真』と我が娘という現実に感謝です。良い映画ですよ。☆

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